親子ダンボール教室「巨大かまくらを作ろう!」レポート 何の変哲もないダンボールで驚きと感動の遊びができた!NPO法人ファザーリング・ジャパン関西による親子ダンボール教室開催!
2016年2月16日 旧伏尾台小学校 体育館
お父さんが子育てを考えるきっかけになる体験を
1月31日、昨年度末で廃校になった旧伏尾台小学校の体育館に、こどもたちと大人たちの歓声が響き渡りました。 この日、NPO法人ファザーリング・ジャパン関西の篠田理事長はじめ、4名のメンバーをお迎えし、親子で遊ぶイベントが開催されました。メイン講師は、ダンボール加工の仕事をされているダンボール王子こと、島津さん。日頃から、ダンボールを使った遊びをいろいろと考え、発信し続けていらっしゃいます。 この日用意されたのは、大きな会場で遊べるように作られた長さ60cmほどの平たい形をしたダンボール650個! 「僕達も、こんなにたくさんのダンボールで遊ぶのは初めてなんですよ」と島津さん。これから何が始まるか、どんな事が起こるか、ワクワクしているという表情です。 この日参加されたのは、池田市に住むご家族約30組と、スタッフの家族合わせて、約120人。 会場に来られた方から次々と箱作りに参加されていきます。まず、ダンボールを組み立て、ブロックを作るところから始めます。もうその段階で遊びが始まっていました。巨大ジェンガのように積み上がっていくダンボール。こどもたちは参加したくてせっせとブロックを作り、いかに効率よく運ぶか、模索が始まっていました。積み上げて押してみたり、いくつも縦に並べて押してみたり。また、高く積むためにどうしたら良いか、いろいろ試してみます。 誰に言われなくても、男の子たちがガムテープを手にせっせと箱を作っている様子が目につきます。あっという間に650個のブロックが出来上がり、積み上げられたその様子に大人もこどもも大歓声。こんなにたくさんの段ボール箱、見たことない!
身近にある何の変哲もないただのダンボールで、家族揃って遊ぶ
まずは、1家族ごとに20個のダンボールを使って「家族が入れるもの」を作ります。俄然、目がキラキラするのは、お父さん。お父さんが形を考えて積み上げていく様子があちこちで見られました。トンネルだったり、高い塔のような形だったり、中には多角形のお家だったり。小さいこどもがお隣の創作物を見て「かっこいい…」とつぶやいていたり。家族で遊んでいるのだけれど、すぐそばには違った家族がいて、刺激されるようです。 次は2家族、3家族で協力して一つのものを作っていきます。最初、皆さん戸惑った様子でしたが、誰かがブロックを積み始めると、なんの話し合いがあるわけでもないのに、たちまち一つのものを作ろうと協力する様子。柔らかく軽いダンボールなので、せっかく積み上げた壁にこどもがあたったりして崩れてしまうことも。崩れても、たちまち誰かが修復。プログラムが始まってまだ20分ほどですが、大人もこどもも夢中になっているんです。50個、60個と集まると、かなり大きなものが出来上がります。お父さんの肩車で高いところに積み上げたり、どんどん横に広げていったり、作っては崩し、崩してはまた新たな形に挑戦したり、創造の楽しさがどんどん広がる様子。この頃になると、こどもたちもどんどん積極的に動いています。 それぞれ工夫した形の大きなおうちが出来上がり、こどもたちはあっちのおうち、こっちのおうちと走り回ります。自分たちで作ったもので遊ぶ楽しさを満喫しているようです。ファザーリング・ジャパンのスタッフも、こんなに個性的で多様なものがたくさんできたことに感激されていました。 まだハイハイの赤ちゃんも、何個か積み上げたダンボールによじ登って、楽しんでいる様子が見られました。「プログラムに入れなくても、何かしら楽しんでもらえればいいんですよ」と、こどもたちがそれぞれに楽しんでいる様子を見て、スタッフの方々がとても嬉しそうに話してくださるのが印象的でした。
全員で協力して巨大ドミノに挑戦、こども相手のゲームに本気になった大人たち
せっかく作った家ですが、次の遊びに使うために体当たりで崩します。家では「壊す」ということはなかなかできないけれど、ここでは堂々とできる。崩れてきたダンボールに埋もれることも楽しくてしかたがないこどもたち。見ている大人もそんなこどもたちを微笑ましく見守ります。柔らかく軽いダンボールなので、あたっても痛くない。こんなに素敵な体験、なかなか家ではできません。 今度は、体育館全体を使って、巨大ドミノを作ります。立てたダンボールを倒さないように、細心の注意を払ってダンボールを運び、並べていくこどもたち。体育館いっぱいに並んだダンボールをカウントダウンしてドミノ倒し。全部倒れた時には拍手が起こりました。 その後は、全く違った遊びをということで、100個のブロックを使ったゲーム。ルールは単純で、こどもたちは星マークが書かれた方にひっくり返す。大人たちはそれを裏返すというもの。「大人なんかに負けないぞ~」という大声が体育館に響き渡りました。こどもたちの本気モードに大人たちも負けてはいられない。こどもそのものをブロックしたり、ひっくり返されないようにブロックを積み上げてみたり、なかなか姑息な手を使った大人たちでしたが、結局3対0でこどもたちの圧勝。このゲームは、大人にとても好評だったようです。「本気でやったんですけどね~」と残念がる声が聞かれました。
巨大かまくら作りは、こどもたちの発想の豊かさ、柔軟さに感動
最後のプログラムは今回のメインテーマ、巨大かまくら。できるだけ大きなかまくらを作ります。こども、大人合わせて100人以上もの人が、協力して一つのものをつくり上げるという体験は、なかなかできることではありません。最初は2箇所で作り始めたかまくらでしたが、こどもたちの発案で2つのかまくらを繋ぐ通路ができ、出入り口があちこちに作られ、大人も感動するような、本当に巨大なお城のようなものが出来上がりました。 「こどもの発想力でこんなすごいものができました。過去最高です」と島津さん。 「今のこどもたちはなかなか遊びのイメージがわかないことがある。でも、大人が楽しんでいると、それを見てこどもたちも遊べるようになる。だから、お父さん、お母さんがまず楽しんでください。今日がその機会になれば何よりです」と最後に篠田理事長が締めくくられました。
家族全員で参加でき、自分たちだけではできない遊びの機会が楽しかった
最後まで、ほとんどのこどもたちの集中が途切れることはなかったように思いました。また、参加者全員の楽しそうな笑顔がとても印象的でした。なかなか家では見られないこどもたちの姿に、お父さん、お母さんは何を感じていらっしゃったでしょうか。 遊んでいる最中にも「ダンボールでこんなに遊べるんだと驚いた」「ドミノのダイナミックさがおもしろかった」「家では壊すようなことはできないから思う存分やってほしい」「人が多くてびっくりした。行事以外でこんなに人が集まることは少ない。今日は知らないこどもとも遊べたのがいいと思った」「こういったダイナミックな遊びはなかなかできないからほんとに楽しかった」「知らない人と一緒に何かをするという経験がとても貴重だった」とお父さん、お母さんからの声が聞かれました。 アンケートでも満足度がとても高く、ぜひまたやってほしい、また参加したい、他の人にも紹介したいという声がほとんど。 「物が溢れ、ゲーム機などが多様化する今の時代に、たったひとつのものでもいろいろな遊びができる。その方法や可能性をこどもに教えていくことが重要だと再認識した」「お金もかからずに大人とこどもが一緒に遊べる企画がとても良かった」「こどもはもちろん、親も一緒になって楽しめた。家でもできたらなと思った」「ブロック作りから片付けまで、こどもが参加できて良かった」という感想をたくさんいただきました。 家に帰ってから「楽しかったね」「おもしろかったね」「またこんな機会があったら一緒に遊ぼうね」と親子で話し合い、親子のふれあいが深まればと思います。そして、そこからお父さんが子育てを真剣に考え、子育てに積極的に関わってくださるきっかけになればと願っています。